ニューヨーク コーヒー豆探訪 2022/9月号「BKGコーヒー(BKG COFFEE)」

BEANS

このコーナーでは、ニューヨーク在住日本人ブロガーのSky(筆者)が、ニューヨークにあるロースターを中心に、毎月気になるコーヒー豆をピックアップ。ロースターの紹介とともに、実際にそれらの豆を購入し、自宅でドリップコーヒーを淹れ、味についての感想をお届けしていきます。

今月はブルックリン発祥、3兄弟による家族経営のロースター、BKG Coffeeから「Nicaragua Ala De Jinotega」をご紹介します。

BKG Coffeeの紹介(HP参照)

極上のコーヒーを愛するCRAIG、JAMES、ALAINの3兄弟がブルックリンのアパートで初めてのバッチを焙煎したのが2003年。そこから彼らの冒険が始まりました。やがて趣味の域から本格的なコーヒーへのこだわりに変わり、自前の焙煎所を開設。その後、旗艦店とイノベーションラボもオープンさせます。

BKGコーヒーは、たったひとつのミッションである「完璧なコーヒーへのあくなき追求」のために、全力で取り組んでいます。

倫理的なコーヒー豆調達
BKGコーヒーでは、最高級で、最も美味しく、責任を持って調達された豆だけを選定するため、日々多くの努力を重ねています。調達する豆は100%認定アラビカ種で、品質と味の属性に関する条件を満たすものだけを、手作業で丁寧に選別しています。この調達方法はコーヒーの味だけでなく、コーヒーが栽培されている途上国のサステナビリティを促進するにも役立っているとのこと。

独自のプロファイルと少量バッチでの焙煎
時間をかけて洗練されきた焙煎プロセスに加え、個別に設計されたプロファイルが、調達したコーヒー豆のニュアンスを補完。各プロファイリングが、コーヒー豆の表現を正しく確実に再現できるよう、BKGではアートと科学の力の絶妙なバランスを重視しています。

大型ロースターとは違い、少量バッチで焙煎することにより、焙煎プロセスをより適切に管理することができ、各コーヒーが完璧に焙煎され、最高の鮮度で楽しむことができます。すべてのコーヒーは手作業で梱包され、焙煎してすぐに販売されます。

家族経営と地域とのつながり
2010年の創業以来、自分達の作るコーヒーと地域への情熱とともに、今でも家族経営を続けています。ブルックリンに根差し、BKGのコーヒーを通じて、顧客とのつながりを広げています。まさに「誰が焙煎したのか顔が見える」ロースターなのです。(こちらに3兄弟の似顔絵が掲載されています。)

ホームページによると、ブルックリンの旗艦店(557 Myrtle Ave.)に加え、ヒルトンブルックリン(140 Schermerhon St.)のロビーにもコーヒーバーをオープン。またブロンクスにあるフォーダム大学のローズヒルキャンパスにも展開しています。

今月のコーヒー豆「Nicaragua Alta De Jinotega」

今回もカフェの店員さんに、ミディアムローストで、Pour over(ドリップ)におすすめの豆はどれか聞いたところ、こちらをおすすめされました。

ニカラグアの豆はこれまで、Gotham CoffeeのブルックリンブレンドOslo Coffeeソーハウスブレンドに含まれていましたが、ニカラグア豆だけの商品を試すのは今回が初めてです。ニカラグアの場所は以下の地図をご参照ください。中米のど真ん中に位置しています。

コーヒー豆は、Cooperativa Multifunctional Family Coffee R.L. (COMULFAC)と言う協同組合を中心に組織された家族経営の農場から調達されています。COMULFAC のメンバー農家は、ニカラグアのジノテガ県に住んでおり、平均 4〜100エーカーの農場でコーヒーを栽培しています。

COMULFAC は、数年前からこれらの農家からコーヒーを購入していた J&M Family(ジノテガ県の個人所有の輸出会社) の支援を受けて2013年に設立されました。 協同組合モデルの背後にあるのは、農家が自分達の努力を結集し、リソーセスを組み合わせ、コミュニティの生活の質を向上させることを目的とした社会的プロジェクトの支援することです。

生産地コミュニティの持続可能な発展につながるコーヒー豆、かつフェアトレード&オーガニック認定を受けているということで、コーヒーを飲む消費者としても少しでも「良いことをしている」と思えることが、魅力のひとつだと思います。

コーヒー豆は、高度980〜1,400メーターで栽培されており、ウォッシュド加工され、天日で乾燥させています。COMULFACのメンバー農家は収穫したコーヒー豆を処理するために独自のミルを使用しており、これが果肉の除去、発酵、乾燥の過程において、丁寧な取り扱いを可能にしています。

味の特徴は「ミルクチョコレート」「カラメル」「シトラス」とのこと。甘みがあるコーヒーの予感です。ニカラグアの協同組合の生産者たちが、丁寧に栽培、加工したコーヒー豆が、BKGコーヒーの独自の焙煎プロファイルでどのように仕上がっているのか?試飲が楽しみです。

      (写真: 実際の豆)

コーヒーを飲んだ感想

コーヒー豆のバッグに貼られている焙煎日のシールは「9月6日」。お店で購入したのが9月10日だったので、焙煎から4日後のフレッシュなコーヒーを買うことができました。少量バッチと鮮度へのこだわりを垣間見ることができました。

筆者愛用のコーヒーミル「Breville Smart Grinder Pro」で、いつもどおり中挽きにします。ドリッパーは毎度おなじみHario V60を選択。(参照過去記事:筆者愛用のコーヒーミルドリッパーの違いについて)

お湯の温度をいろいろ変えてみましたが、個人的には低めの83〜84℃で抽出するのが、一番好みの味に仕上がりました。90℃くらいのお湯で抽出した場合、少し苦味が強く感じられました。

第一印象の香ばしい苦味(スモーキーなフレーバー)が口の中に残りつつ、甘みと酸味が後口でやってきます。味の特徴として紹介されている「カラメル」が、筆者の中では一番しっくりきました。コクもしっかりつつ、スムースさもあり、ひと口の満足度をがとても高いコーヒー豆です。

この甘くて香ばしい感じは、以前紹介したGotham Coffeeのブルックリンブレンド(ニカラグア産豆を使用)と似ているので、ミルクとの相性も抜群だと思います。

ミディアムからダークの中間くらいに位置するコーヒー豆ということで、苦目のコーヒーがお好きな方や、パンチのある強めのコーヒーが飲みたいときは、やや高めの湯温(90℃程度)で抽出されると良いでしょう。

Sky満足度 ☆4.0 (5点中)  香ばしい苦味と甘みを強く感じるコーヒー。わりと重厚感があるので、午後の眠い時間や、甘いものとの組み合わせに最適なコーヒーだと思いました。オーナーの3兄弟のコーヒーへのこだわりと、焙煎者の「顔が見える」地域に根差したコーヒーということで、筆者も個人的に応援したいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。次回は10月となります。どうぞお楽しみに!

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