このコーナーでは、ニューヨーク在住日本人ブロガーのSky(筆者)が、ニューヨークにあるロースターを中心に、毎月気になるコーヒー豆をピックアップ。ロースターの紹介とともに、実際にそれらの豆を購入し、自宅でドリップコーヒーを淹れ、味についての感想をお届けしていきます。
今月はポップでカラフルなロゴとパッケージが目をひくBROOKLYN ROASTING COMPANYから「JAVA MOCHA」をご紹介します。
BROOKLYN ROASTING COMPANYの紹介(HP参照)
2009年にJim Munson氏により、ブルックリンのウィリアムズバーグで創業。Munson氏はそれ以前にThe Brooklyn BreweryやDallis Bros Coffeeでエグゼクティブとしての経験がありました。
創業以来、同ロースターが目指すゴールはシンプル。「サスティナブルな方法で調達された最高品質のコーヒーを、ニューヨーカーに気取らない形で提供すること」。
創業から2年後にはダンボ地区にロースターと店舗を兼ねた旗艦店をオープン。現在では200 Flushing Aveにカフェを構える他、ニューヨーク市全域のカフェ、スーパーなどにコーヒー豆の卸売りも行っています。
こちらはブルックリンにあるカフェの店内の様子ですが、レトロ感があっておしゃれです。少しアクセスしづらい場所にありますので、マンハッタンだとStrand Book Store(823 Broadway at 12th Street)にも入っているようです。
他社との違いを際立たせているのが、同ロースターの主要なコミットメントである職場のダイバーシティと前進的なフェアトレードによる調達です。ブルックリン・ロースティングカンパニーでは、ベンダーやコーヒー生産者、従業員、顧客と築いてきた強固な関係性に誇りを持っているとのこと。
同ロースターの経営哲学をシンプルにまとめたのが以下です。
筆者はこれを読んでまさにブルックリンを言い表しているなぁと共感しました。そして同ロースターのカラフルなロゴについても、そういう意味があると知り納得です。
ブルックリンの街を散策してみると、多種多様なバックグランドを持つ人々が行き交っていて、それぞれ生活を送る姿に、力強さとか、新しいものが生まれる雰囲気をとても感じるのです。この街は数年後にまた違う顔を見せてくれるだろうという予感です。
そんなダイバーシティを重要視するブルックリン・ロースティングカンパニーですが、なんと日本にも進出しており、カフェや日本向けサイトの運営も行っています。Japan Blendなども発売していて、さらに親近感が湧いてきました。
今月のコーヒー豆「JAVA MOCHA」
カフェの店員さんに、ミディアムロースト(中煎り)でおすすめの豆はどれか聞いてみたところ「BRAZIL」と今回紹介する「JAVA MOCHA」を勧められ、今回はブレンドコーヒーの気分だったので、「JAVA MOCHA」を試すことにしました。
ホームページでは【色の世界で、「黄色」と「青色」を混ぜると「緑色」になるように、異なるフレーバーを混ぜ合わせると、まったく新しい味が生まれます。ピーナッツバターとゼリー、ワインとチーズなど。コーヒーの世界ではモカ(Mocha)とジャワ(Java)のブレンドがまさにそれにあたります。】とのこと。
モカというと、カフェモカから連想して、チョコレートのような甘いもの?と思う読者の方もいたのではないでしょうか?実は読者もその一人です。
調べてみると、コーヒーの「モカ」とはコーヒー豆の種類のことで、イエメンの「モカ」港から輸出されていたのが名前の由来です。イエメンだけでなく、対岸のエチオピア産のコーヒーも一緒に輸出されていたため、エチオピア産のコーヒーもモカと呼ばれます。
これら東アフリカの甘くてどちらかというとワインのようでもあるコーヒー豆(モカ)と、しっかりとしたコクのあるインドネシアのジャワの豆の組み合わせは、一世紀もの歴史がある伝統的なブレンドなのです。
ブルックリン・ロースティングカンパニーではモカとジャワのブレンドで2つのバージョンの商品を発売しています。ひとつが、ウォッシュド加工を施し、爽やかさや華やかさを持つエチオピア豆を使った「Mocha Java」。そしてもう一方が今回紹介する「JAVA MOCHA」で、ナチュラルプロセスを施されたエチオピア豆を使っています。
ナチュラルプロセスとは、コーヒー豆の精製方法のひとつで、収穫したコーヒーの実を果肉がついたまま、乾燥台に乗せて天日干しします。果肉がついたまま乾燥させることで、果肉の糖分とフレーバーが豆に移り、ベリーのフレーバー、時にワインのようと形容される味わいを楽しむことができます。
この「JAVA MOCHA」ブレンドの味わいも「ベリー」、「ダークチョコレート」、「はちみつ」と表現されています。2大陸をつなぐ伝統的なブレンドの実力はいかに?ナチュラル加工のワインのようなフレーバーが感じられるのか?試飲が楽しみです。
(写真: 実際の豆)
コーヒーを飲んだ感想
コーヒー豆はおしゃれな包装が施された缶の中に、鮮度を保つため窒素充填の状態で入っています。シールをはがすと、缶の中から香ばしいコーヒ豆の香りが広がります。
筆者愛用のコーヒーミル「Breville Smart Grinder Pro」にコーヒー豆をセット。いつもどおり中挽きにします。
モカのダークチョコレートのような苦味を楽しみたいなら、お湯の温度は90℃くらいがおすすめと聞いたので、いつもより少し高い90℃のお湯で抽出することに。ドリッパーは毎度おなじみHario V60を選択。(参照過去記事:筆者愛用のコーヒーミルとドリッパーの違いについて)
一口目の感想は「心地よい苦味」。そして後口は微かな酸味と、ベリーの風味が続きます。まるでワインのようと形容される、ナチュラルプロセスで精製されたコーヒー豆の特徴をしっかり感じることができました。筆者Sky流にお伝えすると、ミックスベリーチョコレートのようなコーヒーです。
これまでモカとジャワのブレンドというと2021年11月号で紹介したPorto Rico Importingのハウスブレンドに含まれていましたが、純粋にこの2つの地域のブレンドを試すのは今回が初めてでした。
苦味とベリーの甘味、酸味のバランスが非常に良く、一世紀以上に渡り親しまれてきているブレンドであること、納得です。ただ筆者にとっては、ナチュラルプロセスで精製されたエチオピア豆がこれほど興味深い味わいを持っていることが今回の大発見でした!ウォッシュド加工との違いが想像以上でした。
苦味は強ぎず、濃厚なコクもあるので、モーニングコーヒーから午後のコーヒーまで、用途は多彩ですが、寒い時期の朝に飲んだらより幸せな気分になれそうなコーヒーだと思いました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回は9月となります。どうぞお楽しみに!