ニューヨーク コーヒー豆探訪 2021/9月号「ストンプタウン・コーヒーロースター(STUMPTOWN COFFEE ROASTERS)」

BEANS
「今月のコーヒー豆」のコーナーでは、ニューヨーク在住日本人ブロガーのSky(筆者)が、ニューヨークにあるロースターを中心に、毎月気になるコーヒー豆をピックアップ。ロースターの紹介とともに、実際にそれらの豆を購入し、自宅でドリップコーヒーを淹れ、味についての感想をお届けしていきます。

今月はStumptown Coffee RoastersHair Benderを紹介します。

STUMPTOWN COFFEE ROASTERSの紹介(HP参照)

1999年、サードウェーブコーヒーの流れに乗り、オレゴン州ポートランドにて創業。2011年に売却され、現在は世界的な食品グループJAB Holdings傘下のPeet’s Coffeeの子会社となっています。

パンデミック前にはポートランドを始めとして米国内に12店舗のカフェを運営していましたが、一旦その全てをクローズ。2020年にそのうち9店舗をリオープンしました。ニューヨークではミッドタウンサウスにあるAce Hotel内、グリニッジビレッジ、そしてブルックリンに直営カフェを構えています。

Forbes誌の記事によると、コーヒー豆はWhole Foodsをはじめとして全米の6,000を超えるスーパーマーケットでも取り扱われていて、2,000を超える独立系コーヒーショップでも提供されています。パンデミック中は直営カフェの一時的な閉鎖を余儀なくされたものの、Stay Homeにより、オンラインでの売上がなんと200%増加したとのこと。

2015年にPeet’s Coffeeの子会社となった後も、Stumptown Coffee独自の哲学は生きています。特筆すべき特徴はコーヒー豆の調達方法と調達先の多様性です。

直接取引(Direct Trade)の先駆者として、2002年に生産者とのDirect Tradeを始めました。その後他社もこぞって追随し、コーヒー業界に大きな変化をもたらしたと彼らは自負しています。

ホームページによると彼らの定義するDirect Tradeとは、①品質に見合った価格を支払う(コモディティコーヒーを先物市場で購入するのではなく)。②生産者と互いに顔が見える取引をし、相互に透明性を確保する。③生産者と長年に渡るパートナーシップを築き、真の意味での信頼関係を作ること。

農家(Farmers)と呼ばず、敬意を表して生産者(Producers)と呼び、3年連続して取引を行なって初めてDirect Tradeと呼ぶそうです。コーヒー豆のチームは一年の約半分は世界中を旅し、生産者を直接訪問して彼らを知るともに、コーヒー豆の品質に基づくインセンティブシステムを用いて、高品質のコーヒー豆にはそれに見合った対価を支払う仕組みにしています。品質が高いコーヒーは手間がかかることを理解しているのです。

ホームページでは各地の生産者の名前や写真、豆の加工法、歴史など、他では見ないほど詳細に説明されており、末端の消費者でも、誰がどこで育てた豆が使われているか確認することができます。すごいことですよね。

そんな顔の見える生産者とのDirect Tradeの先駆けであるStumptown Coffee。コーヒーマグを持った時温かみを感じ、香りを深く吸い込んで、コーヒーを口に含む瞬間、それら一杯一杯のコーヒーが完璧なものであるように、多くの努力を重ねているとのこと。実際に飲むのが楽しみです。

Hair Bender

創立者のDuane Sorenson氏により、Stomptown Coffeeで一番初めに作られたブレンドで、当時からレシピは変わっておらず今なお一番の人気を誇るブレンドとのことです。NY市内のスーパーのコーヒーコーナーでもかなり高い確率でこの深緑のパッケージを見つけることができます。

ブレンド名の由来はポートランドの1号店が入居していたスペースに、以前は美容室があったそうで、その美容室名前を取ったとのこと。なるほど〜、不思議なブレンド名だなと思っていましたが、会社の原点と繋がりのある素敵なネーミングです。

どんな淹れ方でも美味しく楽しめるこのHair Benderブレンド、直営カフェではエスプレッソで提供されています。特徴である鮮明かつ複雑な味わいは、インドネシア産豆の重厚な質感を、ラテンアメリカアフリカ産の豆でバランスをとっているとのこと。

風味の特徴としてラベルに記載されているのは「柑橘類」「ダークチョコレート」「レーズン」前々回「2021年7月」前回「2021年8月」のコーヒー豆で取り上げたような甘味のあるブレンドでありつつ、今回は柑橘類の爽やかな酸味も期待できそうです。

(写真: 実際の豆)

コーヒーを飲んだ感想

ホームページには、おすすめの淹れ方について、それぞれの商品ごとに記載があります。今回もドリッパーHario V60を使用し、おすすめの淹れ方の通りハンドドリップで淹れてみたのですが、どうにもすっきりし過ぎて物足りなさを感じたので、Melittaの台形ドリッパーで再度試してみました。(参照:ドリッパーの違いについての過去記事はこちら

これが正解でした。エスプレッソで使用しているブレンドということで、苦味を予想したのですが、苦味は全くなく、フレーバーとしてあげられている柑橘類(どちらかというと甘めのみかん)のような程よい酸味と、チョコレート系の甘さのバランスが素晴らしいブレンドです。

優しく包み込むような味のブレンドなので、タイミングとしては、朝に飲むのに最適かと思います。万人受けする味だと思うので、創業以来の売れ筋というのは納得です。言い換えればパンチの強い個性的なコーヒーが好きな方には少し物足りないかも知れません。私は少し濃い目が好みなので、Melittaの台形ドリッパーで少し長めに時間をかけて抽出する方法が自分にはあっていると思いました。

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これからどんどん秋が深まりますが、この優しい味のコーヒーがあれば朝の冷え込みも乗り越えられそうです。

Sky満足度 ☆4.5 (5点中)  あと一歩重みが欲しいところですが、かなり完成度の高いブレンド。お気に入りコーヒー豆リストに登録です。

読んでいただきありがとうございます。次回10月のコーヒー豆をお楽しみに!

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