ニューヨーク コーヒー豆探訪 2022/1月号「プエブロケリード・コーヒーロースター(Pueblo Querido Coffee Roasters)」

BEANS

このコーナーでは、ニューヨーク在住日本人ブロガーのSky(筆者)が、ニューヨークにあるロースターを中心に、毎月気になるコーヒー豆をピックアップ。ロースターの紹介とともに、実際にそれらの豆を購入し、自宅でドリップコーヒーを淹れ、味についての感想をお届けしていきます。

2022年最初に紹介するのはPueblo Querido Coffee Roastersの「Brooklyn」です。シリーズ開始以来初めて、シングルオリジン(単一産地)のコーヒー豆を取り上げます。

Pueblo Querido Coffee Roastersの紹介(HP参照)

Pueblo Querido Coffee Roastersは、コロンビアのコーヒー生産の中心地であるCalarca地域からアメリカに移民したChristian Guzman Herrera氏が、2016年に創業した家族経営のビジネスです。コロンビア豆ってよく聞くけど実際どこにあるの?と思った方、以下の地図を参照ください。

Herrera氏はアメリカに移住してからビジネスの機会をうかがっていましたが、検討の末、自分たちが心から愛することを仕事にしようと決め「Pueblo Querido」が誕生します。コーヒー農場で生まれ育ったHerrera氏にとって、コンクリートジャングルの大都会に住んでみて初めてコーヒーへの感謝の気持ちが生まれたと言います。

Pueblo Queridoの名前の由来は「例え遠く離れていても、いつも心の中にある故郷を思う気持ち」から来ています。Google翻訳の英訳は「Beloved People」と訳されたので、「愛すべき故郷」のようなニュアンスでしょうか。

故郷コロンビアを思う気持ちはコーヒーショップにも。内装には現地の織物も用いられ色使いがとても鮮やかです。天井から吊るされているトラックは、コーヒーや農産物を農場から輸送するのに使用されているトラックとのこと。お店ではペーストリーとして、コロンビアのデザートや軽食も提供されています。

Pueblo Queridoの使命は、新鮮かつ他にはない特別な最高品質のコーヒーを届けること、そして原産地のコーヒー文化と情熱を人々とシェアすること。そのためにコーヒー産地から消費者まで、追跡可能なフェアトレードを保証し、顧客が新鮮な豆を、煎りたてのうちに楽しめることを目指しています。

また収穫過程、加工、乾燥の手順について事前に生産者に指示を出し、深みのあるプロファイル、香り、アロマ、独自の特性を備えた特別なコーヒーを提供することを可能にしています。主要な生産者は小規模農家である事から、農家はプレミアム価格で売ることができ、Pueblo Queridoは特別なコーヒーを手に入れることが出来る、WinWinの関係です。

Pueblo Queridoが目指すのは南米の小規模ビジネスの支援、そしてアメリカで新しい機会を夢見ている人々にとっての先例となること。そして鮮度と環境への配慮の点において最高のロースターとして、顧客に唯一無二な特別なコーヒーを届けること。生産者と顧客が相互にハッピーであることも目指しています。

(ウィリアムズバーグの2号店外観)

グリーンポイント(195 Green Point Ave, Brooklyn)の1号店に引き続き、コロナ禍の困難を乗り越え今年ウィリアムズバーグ(698 Manhattan Ave, Brooklyn)に2号店をオープンしました。

Brooklyn

このシングルオリジンコーヒー豆は、コロンビアの高地に位置するSierra Nevada地方Cienaga地域の複数の小規模農場で育てられています。この場所で育てられたコーヒーはコロンビアの中でも希少価値が高いとのこと。なぜなら高地であるためアクセスが非常に困難であること、また現地のコーヒー農家は通常知人にしかコーヒー豆を販売したがらず、外国人に販売しないからです。

ここの農場の人々は仕事に情熱を持って取り組んでいます。コーヒー栽培をただのビジネスとしてではなく、彼らが日々食べていけるのはコーヒー農場のおかげであり、コーヒー農場を神聖な場所として、尊敬の念を持って働いています。そのためこの地域の豆はコロンビアの中でも最高の部類に入るのです。

また海抜850-1500メートルの高地に位置することが無農薬栽培を可能にしています。環境にも体にも優しいオーガニック食品であることも消費者にとっては大きな魅力です。

コーヒー豆は70kg容量の穀物用バックに詰められ輸入されます。この方法によってコーヒー豆のアロマ、色合い、鮮度を保つことができます。そして自社のコーヒーショップで焙煎され専用のパッケージに詰められます。

このパッケージが入念に作り込まれていて消費者に優しい!ジップロックがついているので、豆の風味が損なわれることを防ぎ、開閉もとてもスムーズです。

商品名のBrooklynは、Pueblo Querido創業地であり、創業者の第二の故郷となったブルックリン(グリーンポイントはブルックリンの北部に位置する)にちなんで名付けたそうです。

焙煎の度合いはシティーロースト。味のプロファイルは「甘くて、クリアな口当たり。モカとバニラの層を持つチョコレートの味わい」と紹介されています。元々コロンビア豆のミディアムローストが大好きな筆者ですが、コーヒー豆の産地について学んだところで味への期待は高まります!

(写真: 実際の豆)

コーヒーを飲んだ感想

まずパッケージを開封した瞬間、とっても香ばしくて甘いコーヒー豆の香りが漂い、思わず笑顔になります。コーヒー豆の鮮度が良いのでしょう。

さっそく中挽きにしたコーヒー豆をドリッパーにセットします。シングルオリジンのピュアな味わいを満喫したく今月もドリッパーはHario V60を選択。最近はもっぱらHarioです笑。(参照:ドリッパーの違いについての過去記事はこちら

コーヒーを口に含むと、まず初めに心地良い苦味が現れました。不快な苦味でなく、全く角のない、何層もの味が感じられるコクのある苦味です。風味のプロファイルにはチョコレートの味わいと紹介されていますが、ココアの風味も感じました。後口に爽やかな酸味が残り、スッキリといただくことが出来ます。素晴らしい味のフローです。

全体として欠点のない、優秀なコーヒー豆だと思いましたが、何層かで構成されるコクのある苦味!これが最も印象に残りました。シティーロースト(ミディアムの中では深煎り)と言っても、嫌な苦味は全くないので、モーニングコーヒーとしても気軽に飲めると思います。

個人的にはこれまで紹介したコーヒー豆の中で確実にトップ3にランクインする高評価です。

Sky満足度 ☆5 (5点中) 口の中で何層かコクのある苦味が現れ、爽やかな酸味でフニッシュ。毎日飲みたいと思えるお気に入りコーヒーです。コーヒー豆の鮮度が良いのが満足度に貢献していると思います。経営者がコロンビア出身ということも、他のロースタリーにはない信頼感があります。リピート確実のシングルオリジン豆になりました。

最後まで読んでいただきありがとうございます。次回は2月となります。どうぞお楽しみに!

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