ニューヨーク コーヒー豆探訪 2021/12月号「ゴッサム・コーヒーロースター(Gotham Coffee Roasters)」

BEANS

このコーナーでは、ニューヨーク在住日本人ブロガーのSky(筆者)が、ニューヨークにあるロースターを中心に、毎月気になるコーヒー豆をピックアップ。ロースターの紹介とともに、実際にそれらの豆を購入し、自宅でドリップコーヒーを淹れ、味についての感想をお届けしていきます。

2021年最後に紹介するのはGotham Coffee Roastersの「Brooklyn Blend」です。

Gotham Coffee Roastersの紹介(HP参照)

Gotham Coffee Roastersは2013年に創業された比較的新しいロースターですが、創業者であるChris Calkins氏はコーヒー業界での長きに渡るキャリアの持ち主です。

Calkins氏のコーヒーキャリアのスタートは学生時代、アリゾナ州で初めてコーヒーハウスを開店したところから始まります。スターバックスのオリジナルメンバーとして、シアトルでのスターバックス4号店、5号店のオープンをサポート。そしてエスプレッソマシンなどを製造するイタリアのLa Marzocco社の米国代理店で働きます。それに加えてPeet’s Coffeeの創業者Alfred Peetをメンターに、1983年にSpinelli Coffee Co.をサンフランシスコにオープン。15年後にSpinelli Coffeeを売却し一旦コーヒー業界から引退、ワインビジネスに携わります。

ワインビジネスを売却した後Calkins氏は東海岸に移りますが、ある男性からコーヒーバーを開きたいと相談された彼は、その豊富な経験を活かし2012年にグリニッジビレッジにProdigy Coffeeをコンサルタント的な立ち位置でオープンさせます。続けてコンサルテーションを提供した9th Street EspressoからPulley Collective(中小ビジネスのための共用のコーヒー焙煎施設)を紹介され、そこでProdigy Coffeeを始めとするいくつかの店舗に納入するコーヒー豆を焙煎し始めます。

Gotham Coffeeとしてフラットアイロン地区に自社のカフェをオープンしたのは2017年のこと。現在自社運営のカフェはこの1店舗のみのようで、Gotham Coffee Roasterの自社ブランドのコーヒーを楽しむことができます。

Gotham Coffeeでは自社ブランドのコーヒー豆の他、提携コーヒーショップ専用にカスタマイズされたコーヒー豆も焙煎してます。何気なく立ち寄ったニューヨークのカフェで提供されているコーヒー豆が、実はGotham Coffee Roastersの豆だったということもあるかもしれません。

またCalkins氏は彼のチームとともに自身の経験を生かして、コーヒーショップを開店したい人向けに、カフェビジネス、バリスタなどの人材育成、コーヒー関連器具の選定など、様々なコンサルテーションを提供しています。ニューヨーク界隈にはGotham Coffeeの協力により誕生したコーヒーショップが10店舗以上あるとのこと。

そんなコーヒービジネスに精通したCalkins氏が手がけるGotham Coffee Roastersは当然のようにコーヒー豆の調達に重きを置いています。コーヒー豆購入のための提携先には直接輸出入を手がけている小規模ビジネスを選び、中間業者を排除することで透明性を確保し、コーヒー豆の生産者にできるだけ高い代金が支払われるようにしているとのことです。

Brooklyn Blend

定番のアメリカンハウスブレンドで、1年を通じて販売されています。全てのコーヒー愛飲者たちの口に合うブレンドとのこと。バランス、甘さ、シンプルを追求しています。

コーヒー豆は中米のニカラグアと南米コロンビア産。特定の生産者から品質の高い豆を入手することで、最適なバランスを一貫して保てるよう絶え間ない努力が続けられています。ウォッシュドプロセスを得て焙煎されたBrooklyn Blend、ラベルに記された味の特徴は「甘み」「チョコレート」「ラズベリー」と、バランスの中でも甘さを強調したブレンドなのかな?と想像が膨らみます。

ホームページによるとBrooklyn Blendには深みと、ミルクを入れたとしてもその複雑性や甘みが損なわれることのないしっかりとしたコクがあるとのこと。2021年7月から毎月コーヒー豆を紹介してきましたが、ニカラグアとコロンビア産豆は初めてとういうこともあり試飲が楽しみです。

(写真: 実際の豆)

コーヒーを飲んだ感想

上記ブレンドの紹介の中で記載しましたが、バランスとシンプルさを追求したブレンドということで、クリアな飲みごごちを得るべく今月もドリッパーはHario V60を選択。(参照:ドリッパーの違いについての過去記事はこちら)中挽きにしてお湯の温度は88℃程度に設定しました。

まず一口目には甘みが口の中に広がります。ここまでは予想通りですが、その後にとても「香ばしい」風味がラストノートとして残りました。くるみやウォルナッツを軽く炙ったような香ばしさ、またはカラメルとでも言いましょうか。

何度も飲んでいるうちに、この「香ばしさ」がミルクと絶対に合う!と思い、普段はドリップコーヒー(ブラック)専門の私ですが夫のエスプエッソマシンを借りてカプチーノを作りました。これが美味しかったです!

「ミルクを入れても負けることのないコク」とは、このことを指しているんだ!と納得しました。

アメリカンブレンドということで、朝にぴったりですが、コクがしっかりあるので、午後のコーヒーとしても活躍してくれると思いますし、ミルクと合わせてラテやカプチーノにするのもおすすめです。

Sky満足度 ☆4.5 (5点中) 甘さが主体の親しみやすいブレンドですが、他では見られなかった「香ばしさ」というラストノートがブレンド全体の複雑性を増し、個性となっています。少しお値段が高いのが難点ですが、コーヒー豆の品質へのこだわりが感じられるブレンドです。

読んでいただきありがとうございます。次回は来年2022年1月となります。どうぞお楽しみに!

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