アメリカ オンラインで購入できる日本のうまいもの 「久世福商店」さんのこだわりの逸品を実食

FOOD

炊き立てご飯をちょっとしたご馳走に変えてくれる「なめ茸」や「おかず味噌」。これらのご飯のお供と言われる商品も、ここアメリカでは(アジア系食料品店の多いニューヨークでさえ)、数少ない純日本食スーパーでしか手に入りません。

日本に住んでいた頃はどこでも簡単に手に入ったので、ご馳走だと思ったこともなかったのですが(笑)、アメリカ生活が長くなってくると、ご飯のお供はとっても希少で、白ごはんを主役級に引き上げてくれるありがたい存在なのです。

はるばる遠出して日本食スーパーまで行かなくても、食卓に彩りを与えてくれる日本のうまいものが簡単に入手できたらなぁ。そんな思いを常日頃から持っている筆者が、たまたま訪れたウィリアムズバーグ(NYブルックリン)の無印良品ストアで出会ったのがKuze Fuku & Sonsブランドの素材のうまみを活かした和テイストのグルメ商品。

(無印良品ウィリアムズバーグ店:お店入ったすぐの目立つ場所に綺麗に陳列されたKuze Fuku & Sonsの商品)

Kuze Fuku & Sonsは、“The Japanese Gourmet Store” 「うまいものセレクトショップ」とのコンセプトで日本でブランドを展開されている久世福商店さんの米国ブランドになります。「そうそう、これが欲しかった!」という商品ラインナップで、パッケージやネーミングもとてもおしゃれ。同社のオンラインサイトや無印良品USAのオンラインサイト、なんとAMAZONでも購入することができます。

無印良品の店頭に並んだ沢山の魅力的な商品の中から、迷った挙句、筆者はとりあえず2点購入しました。後日さらに1点追加購入。

さっそく購入した商品を自宅でいただいたところ、作り手の細部へのこだわりが感じられる、まさに「逸品」と言える上質な味わいだったので、本記事ではその実食レポートをお届けするとともに、「うまみ」「だし」など日本特有の食文化の素晴らしさを伝える商品をアメリカで展開してくれているKuze Fuku & Sonsブランドについて紹介したいと思います。
(Kuze Fuku & Sonsは米国サンクゼール社の事業ブランドです。)

アメリカで入手できる日本の美味しいものをお探しの方の参考になれば幸いです。

Kuze Fuku & Sonsとは

まずは、同社のホームページ「Our Story」と久世福商店のホームページを参考に、Kuze Fuku & Sonsが創業されるまでの3世代に渡るストーリーを簡単にまとめてみました。

Kuze Fuku & Sonsは米国サンクゼール社(St. Cousair, Inc.)の事業ブランドですが、同社の起源は20世紀の初頭にまでさかのぼりります。

昭和9年(1934年)、久世 福松という商人が東京東池袋に「久世商店」を創業しました。福松氏の母親が老舗の醤油蔵の一人娘だったこともあり、その頃はまだ一般的でなかった西洋のソースやケチャップの製造販売を手掛け、やがて総合食品問屋へと発展していきます。

福松氏には3人の子供がいましたが、三男である良三氏は昭和25年(1950年)生まれ。若い頃、アメリカやヨーロッパを旅し、様々なインスピレーションを得ました。良三氏は大学を卒業すると、父親のビジネスを手伝いながら、独自のビジネスチャネルも開拓します。

その一つが当時若者の間で人気があったスキーリゾート地にあるホテルや旅館に、久世商店の商品を販売すること。その過程で良三氏は自らのペンションをオープンしたいと思うようになり、25歳の時に長野県の斑尾高原にペンションを開業しました。

ペンションの開業2日目に宿泊客としてやってきたのが、将来の妻となるまゆみさんでした。結婚した二人はペンションをともに経営し、良太氏と直樹氏が誕生しますが、ペンション経営と子育ての両立が難しくなってきます。そこでペンションを売却する方向となりますが、ペンション経営に変わる新しい収入源が必要でした。

その頃、まゆみ夫人は、地域の農家が安く販売していた形の悪いりんごを活用したジャムを作ります。このジャムがヒット。新たな収入源に目処が立ったことでペンションを売却しました。そして遅ればせながら良三氏とまゆみ夫人はハネムーンでフランスのノルマンディー地方を訪れます。そこでりんごの果樹園や乳牛の牧草地帯が広がる魅力的な田舎風景に魅了され、特産のりんごのブランデー「カルバドス」を知ることになります。

またその後訪れた米国のナパバレーでは、現地に点在する多くのブティックワイナリーに感動しました。

帰国後、旅行先で経験した感覚や情景を再現したいと考えた良三氏とまゆみ夫人は、それを実現するために最適な場所を探し、1988年に現在の長野県飯綱町にあるフランスのノルマンディーを思い起こさせる小さな丘にサンクゼール社を設立。ジャムの製造工場に続きレストラン、ワイナリーもオープンさせました。

(サンクゼール社ホームページより引用:https://www.stcousair.co.jp/valley)

良三氏の二人の息子のうち直樹氏(現在の米国サンクゼール社代表)は、高校卒業後アメリカのカリフォルニア大学デービス校に通い、ワイン作りの技術を学びます。直樹氏は学生時代にナパバレーのワイナリーにある寿司バーで、異なる人種の人々と働き、彼らの仕事に対する情熱に感銘を受けます。この経験から、いつかアメリカで家族経営のビジネスを展開し、世界中からやってきた人々と働きたいと考えるようになります。

直樹氏氏は2004年に日本に帰国し父親のサンクゼール社を手伝いながら、学生時代に出会ったベトナム系アメリカ人のMinhさんと2009年に結婚。夫人とともにサンクゼール社の中国法人を立ち上げますが、2011年に発生した東日本大震災の影響で日本産食品の輸入が禁止となり、2012年日本へ帰国。

直樹氏が帰国後に、”ザ・ジャパニーズ・グルメストア”のコンセプトのもと立ち上げた新ブランドが現在の「久世福商店」であり、祖父の福松氏から名前をとっています。久世福商店ブランドは成功し、瞬く間に日本に店舗を広げていきますが、それに伴い多忙となった直樹氏は、家庭に費やせる時間が減ってしまいます。そのためMinh夫人が娘さんを連れアメリカに帰ってしまいました。

人生の優先順位を問われた直樹氏は、アメリカに家族経営のビジネスを立ち上げるという自らの夢を再度思い出し、Minh夫人にセカンドチャンスをくれないかと頼みました。父の良三氏とその頃経営に加わっていた兄の良太氏にアメリカでのビジネスプランを相談し、彼らから同意を得て、2015年にアメリカのオレゴン州に渡ります。

直樹氏はそこで、地元で収穫されたシンプルかつ高品質のオーガニック食材が食卓を彩る、先進的な食文化に魅了されます。多くの努力とビジネス取引を経て、ついに2017年にオレゴン州のニューバーグの工場を買収し、サンクゼールのアメリカ法人(St. Cousarid, Inc.)を立ち上げました。この新しい工場では、日本の食文化を基軸にしつつも、オレゴン州ポートランドの独自の食文化と地元でとれる食材に発想を得た商品を製造しています。これらは現在Kuze Fuku & Sonsブランドとして米国で販売されています。

長くなりましたが、この3世代に渡るストーリーを知り、Fuze Fuku & Sonsブランドの商品を試すのがますます楽しみになりました。

実食レポート

七味なめ茸(Enoki Mushrooms With Seven Japanese Spices)

王道の食べ方からということで、シンプルに白ごはんにのせて頂きました。
まずえのき茸のシャキシャキした食感に感動!日本で広く流通しているなめ茸商品は、えのき茸に全く歯ごたえがなく、しんなりしていた記憶があるので、久世福さんの商品は食感が他にはない魅力だと感じました。

調味料がえのき茸のうまみを存分に引き出しつつ、心地良い七味唐辛子のスパイスが効いています。ご飯がどんどん進む。これは逸品と言える商品です。

アレンジ案:冷奴にのせて食べるのも美味しそう。ホームページで紹介されている和風パスタのトッピングとしても良さそうです。

プレミアムだしポン酢(Tangy Umami Soy Sauce)

火鍋用の薄切り牛肉(しゃぶしゃぶ肉の代用)と豆腐、えのき茸、白菜、豆苗を買ってきて、しゃぶしゃぶ風鍋を作り、ツケだれとして頂きました。4種類の柑橘系くだもの(ゆず、ライム、レモン、グレープフルーツ)が久世福さんの看板の伝統うまみだしとともに使用され、非常に奥深くリッチな味わいになっています。

くだものの果肉や表皮のかけらも少し入っていて、それぞれのつぶつぶからとってもフレッシュな柑橘類の香りが口の中に広がります。お肉をさっぱりと食べれますし、このポン酢のおかげでシンプルな白菜などの野菜がさらに美味しくなり、どんどん箸が進みます。

(うまみポン酢のみの写真。わずかに柑橘類の果実のかけらも見えます)

(しゃぶしゃぶ風鍋のツケだれとして。肉、野菜、豆腐と最高に合う!)

アレンジ案:湯豆腐や、冷奴、水にさらしたスライス玉ねぎにかけるだけでも豪華なおつまみになりそうです。

海苔バター(Nori Seaweed Spread)

口に入れた瞬間に海苔の味、言い換えれば海の味がふわっと広がります。ホームページの製品情報によると宮城県産の海苔を使用しているとのこと。日本でよく食べた海苔の佃煮は、どちらかというと醤油(?)の味は濃いのですが、海苔本来の味はそこまでしなかったような記憶があるので、素材本来の味を活かすことを追求されている商品です。

典型的な海苔の佃煮との違いは、バターを使用することで、ご飯のお供にとどまらず、レシピに幅を持たせているところ。実際、バターのまろやかな風味とほんのり甘みも感じる海苔の佃煮です。

参考レシピとして紹介されているアボカドへのトッピングに挑戦。アボカドも森のバターと言われるだけあってクリーミーで濃厚な口当たりですので、とても相性が良い組み合わせだと思いました!

クラッカー等に薄切りのアボカドと海苔バターを乗せて、ちょっとしたおつまみにも良いかもしれません。(以下、雑なアボカドの切り方はお見逃しください。。)

納豆とともにご飯にもかけてみました。ちょっと納豆に押されて、繊細な海苔の味やまろやかさが打ち消されてしまったので、この商品に関しては納豆と組み合わせてしまうともったいないと思いました。白ご飯に海苔バターのみで良し。

今度は洋風にトーストしたパンにのせてみました。先にバターを下地として塗ったのですが、きっと海苔バターだけで十分なバターの量です。試食してみて思ったのは、チーズを乗せてトーストにしたら間違いなくもっと美味しくなる!

アレンジ案:海苔バターチーズトースト、アボカドと海苔バターをクラッカーに乗せたおつまみ、シーフード系パスタの隠し味。

まとめ

海外に住んで気づいた日本の食文化の素晴らしさのひとつが「うまみ」。そして発酵技術を使った醤油や味噌などの調味料と、薬味と呼ばれるものの豊富さだと思うのです。ほんず、ゆず、生姜、ネギ、ニンニク、唐辛子、梅、わさびなどの薬味と、調味料やだしによって、素材のうまみがさらに引き立ち、シンプルな食材もとっても豪華なものになる。

この繊細で素晴らしい日本の食文化を世界に届けようと、オーガニック製法の素材の味を活かした商品をアメリカでも展開して下さっているKuze Fuku & Sonsさんに感謝です。たったひとつのご飯のお供が冷蔵庫にあるだけで、白ご飯を食べる時間がとても幸せな時間になりませんか?

Kuze Fuku & Sonsさんには、ご飯のお供だけでなく、あんこや抹茶のペーストなど、和スイーツ商品や、ジュース、パスタソースなど、他にも興味をそそる商品を揃えられています。

お値段は安くはありませんが、自分へのちょっとしたご褒美、贈り物にも最適かと思います。またホームページでは洋風の食材と組み合わせたレシピも提案されているので、アメリカ在住の調理が好きな方の創作意欲を掻き立ててくれる商品だと思います。

この記事が読者の皆様の日頃の食生活を豊かに幸せなものにするお手伝いができれば幸いです。

アメリカでのKuze Fuku&Sons商品の入手方法(筆者調べ)

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