ニューヨーク コーヒー豆探訪 2021/10月号 「コーヒープロジェクト(COFFEE PROJECT)」

BEANS

「今月のコーヒー豆」のコーナーでは、ニューヨーク在住日本人ブロガーのSky(筆者)が、ニューヨークにあるロースターを中心に、毎月気になるコーヒー豆をピックアップ。ロースターの紹介とともに、実際にそれらの豆を購入し、自宅でドリップコーヒーを淹れ、味についての感想をお届けしていきます。

今月はCOFFEE PROJECT NEW YORKの「WOKE UP IN NEW YORK」を紹介します。

COFFEE PROJECT NEW YORKの紹介(HP参照)

2015年、Chi Sum Ngai氏と彼女のパートナーであるKaleena Teoh氏が、コーヒーへの情熱を地域の人と共有すべく、ニューヨークのイーストビレッジにて創業。二人は高い技術と地域への献身により、Time Out誌から「NYで一番素敵なコーヒーショップ」と紹介され、人々に知られるようになります。

それから5年を経て、3店舗(チェルシー、ブルックリン、ロングアイランドシティー)を追加でオープンさせただけでなく、ロースター(焙煎所)とニューヨーク州で唯一となるSpecialty Coffee Association (SCA) プレミアトレーニングキャンパスを、ロングアイランドシティーに開設します。

ここでは5台のエスプレッソマシンをはじめとする本格的なコーヒー機器を備えており、プロからコーヒー愛好家まで、それらの機器を使用し、基本のコーヒーの淹れ方からラテアートなど、コーヒーに関するトレーニングを受けることができます。実際にロングアイランドシティーのトレーニング施設を拝見しましたが、開放的でオシャレなキッチン設備に、沢山の機器が並んでいました。

焙煎用の機器も大から小まで3種類備えており、Chi Sum氏はQグレードというコーヒー焙煎の資格を持ち、同社の焙煎プログラムを監督しています。

Coffee Projectのロースターとしての使命は、生産者から消費者まで、サプライチェーンの中にいる全ての人の生活の質を向上させること。

先月号のStomptown Coffeeや、先々月号で紹介したPartner’s Coffeeと同様、Coffee Projectにおいても、ほとんどのコーヒー豆は直接取引で、農場で働くスタッフの労働環境、賃金、福利厚生の改善に力を入れている小規模な共同組合や家族経営の農場で生産されているとのこと。Coffee Projectでは彼らの調達の力を、実験的な品種、加工、農法をサポートすること、また公正な取引価格を促進するために使っています。フェアトレードにおける最低取引価格を大きく上回る価格で、買い付けを行っています。

Coffee Projectは、世界中のコーヒー生産者に敬意を表し、支援を行い、コーヒー業界とそこで働く人々の繁栄を維持するための持続可能な活動を推進したいと考えているそうです。

コーヒーに関係する学びの場の提供という、他社ではなかなか真似できない地域貢献に加え、カフェと焙煎所をニューヨークに構え、ニューヨークのコーヒー文化の形成に貢献しているCoffee Project。彼らの焙煎するコーヒー豆に期待は高まります。

WOKE UP IN NEW YORK

朝食からブランチまで、定番のデイリーコーヒーとして、カフェでもドリップコーヒーとして提供されているWoke up in New York。10oz入りパッケージが17ドルと、これまで紹介したコーヒー豆よりは割高ですが、筆者はカフェに行き、3日前に焙煎された新鮮な豆を買うことができました。「焙煎後2週間が飲み頃」とのシールが貼られています。鮮度へのこだわりも伺えます。

豆は中南米の豆をブレンドしているとのこと。店頭でスタッフから話を聞いたところによると、強烈な個性(例えば強い酸味)のあるコーヒーよりは、バランスの良いコーヒーが好きな人におすすめとのこと。

当ブレンドのフレーバーの紹介としては、「ミルクチョコレート、フルーティーな後味の砂糖漬けナッツ、スムースでクリーミー、程よい酸味」と有ります。2021年の7、8、9月に紹介した豆はどちらかというとチョコレート系の甘味を前面に押し出すブレンドでしたが、今回は「甘み、フルーティー、酸味」の3つのフレーバーのバランスに加え、クリーミーってどんな感じ?と胸が高鳴ります。

(写真: 実際の豆)

コーヒーを飲んだ感想

まずMelittaの台形ドリッパーで試してみたのですが、少し苦味が出たのでHario V60に変更。豆も少し粗挽きに、注ぐお湯の温度も低めの88℃にしました。(参照:ドリッパーの違いについての過去記事はこちら

その結果、口に含んだ時は「甘み、フルーティー、酸味」がそれぞれ同じくらいの絶妙なバランスなのですが、ラストノートでほんのり酸味が主張するコーヒーを淹れることができました。

Hario V60のおかげで、雑味・苦味もなく、この3つのフレーバーが絶妙なハーモニーを奏でるので、クリーミーという表現もなんとなく分かる!トゲのない一体感のあるブレンドです。

ラストノートで感じる強すぎない繊細な酸味。これまで紹介したコーヒーには見られなかったポイントで、ハマる人はハマるかなと思います。一言で言うとインテリな優等生風のコーヒーです。

朝から午後まで1日中飲めるコーヒーですが、パンチは強くないので、午後の眠い時間には少し物足りないかも知れません。

ホームページに掲載されているカフェの内装もとても素敵なので、いつかイーストビレッジ店も行ってみたいと思います。ニューヨーク州随一のSCA プレミアトレーニングキャンパスを持ち、地域の人々に各種コーヒーにまつわる学びの場も提供しているCoofee Project。その定番ブレンドの実力はやはり高く、満足の味でした。

Sky満足度 ☆4.5 (5点中) 強すぎない酸味のアクセントが気に入りました。お気に入りコーヒー豆リストに登録です。

読んでいただきありがとうございます。次回11月のコーヒー豆をお楽しみに!

タイトルとURLをコピーしました