ニューヨーク コーヒー豆探訪 2022/11月号「ジョー・コーヒー(Joe Coffee)」 

BEANS

このコーナーでは、ニューヨーク在住日本人ブロガーのSky(筆者)が、ニューヨークにあるロースターを中心に、毎月気になるコーヒー豆をピックアップ。ロースターの紹介とともに、実際にそれらの豆を購入し、自宅でドリップコーヒーを淹れ、味についての感想をお届けしていきます。

今月はスカイブルーのパッケージでおなじみのJoe Coffeeから「The Daily」をご紹介します。

Joe Coffeeの紹介(HP参照)

(ダンボ店はマンハッタンブリッジを望めるロケーション)

2003年にJonathan Rubinstein氏が創業。高品質で独自性を持ったコーヒーを提供し、コミュニティに居心地の良い空間を作るというシンプルなビジョンの元、グリニッジビレッジで唯一のスペシャルティーコーヒーのお店として誕生しました。

現在ではニューヨーク市内に20を超える店舗と、ロングアイランドシティーにロースター(焙煎所)を構えるまでになりましたが、「地域の人々に、温かなホスピタリティ溢れるコーヒーを届ける」とのミッションは変わっていません。

ところでよく耳にするスペシャルティコーヒーとは、どんなコーヒーのことを指しているのでしょうか。日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)のホームページから引用します。

スペシャルコーヒーの定義
引用元(https://scaj.org/about/specialty-coffee

  • 消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
  • 風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
  • カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)

つまり、コーヒー豆の栽培、保管、輸送の各過程で品質管理が適正になされていること。そして焙煎や抽出が適切で、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味が表現されていること。さらに日本を始め、サスティナビリティやトレーサビリティーの観念をスペシャルティコーヒーの要件に課している国もあります。

ジョー・コーヒーでは、コーヒ豆の品質生産者との持続可能な関係の構築に加え、柔軟性も大切にしているとのこと。可能な限り農家や協同組合と直接取引(ダイレクトトレード)を行うものの、コーヒー生産国にはそれぞれ独自の仕入れインフラがあると理解しており、特定の地域では既に確立されているその他の倫理的な調達方法を取り入れこともあります。

また一部のコーヒーはフェアトレード、オーガニック、シェードグロウン(日陰で育つ環境に優しいコーヒー豆)などの認証を受けたコーヒーですが、認証を受けた農園に限定して仕入れている訳ではないとのこと。

さらにジョー・コーヒーが考える素晴らしいコーヒー体験の秘訣は、コーヒー豆の品質に加えバリスタの専門知識にあります。そのため業界をリードするバリスタ訓練を通じて、バリスタの育成に力を入れています。

筆者が驚いたのは、一般消費者向けのコーヒー講座も数多く提供していること。コーヒーの淹れ方から、ラテアート、コーヒー豆焙煎、本格的なバリスタ講座まで。数は少ないですがバーチャルでも受講可能です。(詳細はこちら

およそ20年前にアルティザンコーヒー(手間を惜しまない職人技のコーヒー)をニューヨークにもたらした先駆者として、スペシャルティコーヒーブームの拡大とともに、革新、成長、業界をリードし続けてきたことを誇りにするジョー・コーヒー。試飲が楽しみです。

今月のコーヒー豆「The Daily」

名前のとおり、毎日飲める定番のブレンドコーヒーとして、バランスと親しみやすさを特徴としています。それでも飽きが来ないように複雑な味わいを目指してデザインしているとのこと。

ブレンドの内訳は、中南米産のコーヒーを中心に、季節ごとに新鮮な豆で構成されます。明るさ、コク、甘み、余韻など、ジョー・コーヒーが重視するコーヒーの特徴が集約されるよう、慎重に選ばれます。本記事を執筆している2022年11月の時点では、ブラジルとコロンビアのコーヒー豆を使用しています。

ブラジル産は、ミナスジェライス州の田舎にあるセラード・ミネイロ地区で数十年に渡りスペシャルティコーヒーを生産するヴェローゾ(Veloso)家のコーヒー豆を使用。ヴェローゾ家は土地の38%を自然林として維持しており、これはブラジルの農業規制である20%を大きく上回っています。

精製はナチュラルプロセスで行われます。乾燥パティオに広げられたコーヒーの実は、水分量が11.5%になるまで乾燥され、ドライミルでパーチメントを取り除きます。

コロンビア産は、アンデス山脈が3つの山脈に枝分かれする「コルディエーラ」と呼ばれる地域が産地です。中央と東のコルディエラの間には、Tarqui地区にエルパライソ生産者組合と、Guadaupe地区にヴィラエスペランサ協同組合があります。これらの組合メンバーは、品質と環境面のサスティナビリティにおいて、絶え間ない革新を支えるというコミュニティ共通の価値を持っています。

味の特徴は「チョコレート」「カラメル」「糖蜜」とのこと。甘さが特徴のコーヒーの予感です。

(写真: 実際の豆)

コーヒーを飲んだ感想

バランスを兼ね備えた甘さのあるコーヒーの予感がしたので、湯温は標準温度の85℃にしました。豆は筆者愛用のコーヒーミル「Breville Smart Grinder Pro」で中挽きに。ドリッパーは毎度おなじみHario V60を選択。(参照過去記事:筆者愛用のコーヒーミルドリッパーの違いについて)

口に含んですぐの印象は、ザ・カラメル!ほのかな苦味と甘みのコンビネーション。想像よりも甘みは強くなく苦味と1:1くらいのバランスでした。

心あたりとしては、ドリッパーは比較的コーヒー液が早く落ちるHarioを選択したのですが、それでも水分を含んだコーヒー粉がドリッパーの底に沈澱しがちで、抽出がゆっくり目になり、苦味が出たのかと思います。

これを防ぐには、ケトルからゆっくりとお湯を注いでドリッパーの中に常に水流を保ち、コーヒー粉が沈澱しないようにするしかないと思います。

ほのかな苦味のあるコーヒーが好きな方には、甘みと良いバランスが取れたブレンドだと思います。でも筆者は、もう少し複雑性または深みが欲しいなぁと感じました。余韻が少し寂しい感じがしました。

Sky満足度 ☆4 (5点中) 甘みと苦味のバランスが優れたブレンド。クセがなく、毎日使いに重宝しそう。ただ筆者としてはもう少し深みや複雑性があれば、より高得点につながったと思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございます。次回は12月となります。どうぞお楽しみに!

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