このコーナーでは、ニューヨーク在住日本人ブロガーのSky(筆者)が、ニューヨークにあるロースターを中心に、毎月気になるコーヒー豆をピックアップ。ロースターの紹介とともに、実際にそれらの豆を購入し、自宅でドリップコーヒーを淹れ、味についての感想をお届けしていきます。
今月はニューヨークのコーヒー好きの方には有名なDEVOCIÓN COFFEEから「Wild Forest」をご紹介します。
DEVOCIÓN COFFEEの紹介(HP参照)
ブルックリンのウィリアムズバーグ地区。街並がとてもおしゃれで、ヒップな雰囲気の人々が集う、ニューヨークでもとても人気の高いエリアです。そしてコーヒーロースターやカフェの激戦区でもあります。
そんなウィリアムズバーグに、コロンビア出身のオーナーSteven Sutton氏が2006年にオープンしたのがディボーション・コーヒー。ニューヨークのカフェ&コーヒー愛好家ならすでご存じの方も多いでしょう。
(天窓から陽光が降り注ぐカフェ内部)
ディボーション・コーヒーの人気は、おしゃれな雰囲気のカフェだけでなく、コーヒー豆の鮮度へのこだわりからも来ています。
コロンビアで収穫されたコーヒー豆は最速10日!で、ウィリアムズバーグのカフェに併設する焙煎施設で焙煎され、消費者に届きます。これほどのスピードで提供するロースターは世界を探しても他にはないとのこと。
その秘密は産地から焙煎施設に至るまでの過程を自社にて管理していること。1,000以上のパートナー農場からの直接買付、コロンビアのボゴタ(Bogotá)にある自社設備で素早く加工、そしてそのまま直接ブルックリンに輸送しています。
こちらのリンクがわかりやすいので見てみてください。他の一般的なコーヒーは現地で買付や加工を行う第三の業者から始まり、輸出業者が船便で発送、そして輸入された豆を倉庫で保管するなど、多数の中間業者が介在するため、収穫してから消費者の口に入るまで150〜365日かかります。その間に鮮度が失われる=コーヒーの味わいが損なわれていくのだそうです。
一方ディボーション・コーヒーはこの過程を10〜45日で行います。正直筆者自身、これまでコーヒー豆を買う時に、ラベルに記載された「焙煎日(Roast Date)」は気にしていたのですが、「いつ収穫された豆か」については、気にしていませんでした。
ところがディボーション・コーヒーのコーヒー豆のパッケージにはコーヒーの実が収穫された日付(Green Date)がしっかり記載されているではありませんか!筆者が豆を購入したのが6/19だったので、現地で23日前に収穫されたコーヒー豆ということになります。
この企業努力には本当に頭が下がります。あえて収穫日をラベルに表示するためには、豆の鮮度に自信があり、どこでいつ収穫された豆かを把握していないとできないことです。これらの企業努力のおかげで、ニューヨークにいながら世界一フレッシュな豆で淹れたコーヒーを飲めることに感謝です。
ディボーション・コーヒーは現在ウィリアムズバーグ、フラットアイロン、ダウンタウンブルックリンに店舗を構えており、ダンボ地区にも近々新店をオープンする予定です。
今月のコーヒー豆「Wild Forest」
(カフェに併設された焙煎施設)
ディボーション・コーヒーのハウスブレンドの一つで、豆の産地はもちろんコロンビア。生産地の一つとして、Tolima地方がホームページでは紹介されていますが、ディボーション・コーヒーでは生産地を「Active Harvest Regions in Colombia」と記載しています。
輸入業者の倉庫に保管されているコーヒー豆を使用するのではなく、常に収穫期にある地域の契約農場で採れた豆を使用することで、365日、真の意味で「自分達」の豆を新鮮な状態で届けることを約束しています。
コーヒー豆の品種はアラビカ種のカトゥーラ(Caturra)という品種。一般的にはSweet(甘み)、Complex(複雑性)、Crisp(爽やか)な味がするとして知られていますが、栽培地によっても味は左右されるようです。標高が高いほど良い味わいになる品種でもあります。
Rain Forest用の豆は1,750〜1,900mという高地で栽培されており、ウォッシュド(Washed)加工が施されます。
味のプロファイルは「ワイルドベリー、チェリー、アンデスブルーベリー、ココアバター、カラメル」とのこと。ベリーの爽やかな酸味とカラメルの甘味、バターのまろやかさ。複雑な味のアンサンブルが期待できそうです。
(写真: 実際の豆)
コーヒーを飲んだ感想
まずコーヒー豆の見た目は、それほど濃い茶色ではなく、やや浅煎りなのかなと予想します。筆者愛用のコーヒーミル「Breville Smart Grinder Pro」にコーヒー豆をセット。ドリップコーヒーに最適な中挽きにします。弾いた直後の豆からは、チョコレートのようなとても甘い香りがしました。
ドリッパーは毎度おなじみHario V60を選択。(参照過去記事:筆者愛用のコーヒーミルとドリッパーの違いについて)お湯は86℃で抽出。
コーヒーを口に含んだ第一印象は、ベリーのような酸味の後、香ばしい苦味と甘味の2つが現れ、そのままラストノートへ。まさにカラメル味が後口に残ります。
またもう一つの特出すべき特徴が「不快な酸味、苦味、えぐみが一切無いこと」だと思いました。コーヒーによくある、トゲトゲしさがなく、とてもまろやかなで高貴な口触りです。これこそがコーヒーは鮮度が命と言われる部分なのかと思います。
爽やかなコーヒーなので、朝、午後といつでも飲めると思いますし、カラメル風味がケーキなどの甘めのデザートと好相性だと思いました。
ここ1ヶ月以内にコロンビアで収穫されたばかりの豆だと思うと、この1杯へますます感謝の気持ちが湧きました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。次回は7月となります。どうぞお楽しみに!