日本でもじわじわ人気が高まり、専門店も続々オープンしていると聞くチキンバーガー。こんがりジューシーに揚げたチキンを主役に、ピクルスなどのトッピングとともにハンバーガーバンズに挟んだもので、アメリカでは「チキンサンドイッチ」呼ばれるのが一般的です。
このチキンサンドイッチ、アメリカではビーフ(牛)ハンバーガー店の「サブメニュー」的な位置付けではなく、ずいぶん前から独自のカテゴリーとして確立されていて、専門店やチェーン店もたくさんあります。
アメリカの食事で胃が疲れている時でも、ビーフハンバーガーよりあっさりしていて助かります。また鶏肉にはカロリー控えめで良質なプロテインの供給源という健康的なイメージかあります。
では、アメリカのファストフードチェーンで気軽にチキンサンドイッチを試したい場合、どこのチキンサンドイッチが美味しい?
そんな疑問にお答えするため、本記事では、アメリカ全土でチキンサンドイッチを提供する日本未上陸ファストフードチェーン、チックフィレ(Chick Fil a)とポパイ・ルイジアナ・キッチン(Popeyes Louisiana Kitchen、以下ポパイ) のチキンサンドイッチを食べ比べ、具材、カロリー、値段、サイドメニューとさまざまな面から徹底比較します。
かく言う筆者はチックフィレが好きで最低月2回は食べます。一方のポパイは、2019年、当時リニューアルされたばかりのチキンサンドイッチを求めて並んでいた客と、列に割り込んだ客が口論となり、割り込みを注意した人が刺されて亡くなるというというセンセーショナルな事件があったほど話題になりました。筆者の生涯を通じて7〜8回はポパイのチキンサンドイッチを食べたことがあります。
KFC(ケンタッキーフライドチキン)とマクドナルドのチキンサンドイッチも試しましたが、今回掲載する2大チェーンに比べると明らかに劣っていたので割愛し、チックフィレとポパイに絞り紹介することにしました。どちらもアメリカ全土に展開するファストフードチェーンなので、アメリカで気軽に&お手頃な値段でチキンサンドイッチを試してみたい方の参考情報となれば幸いです。
チックフィレ(Chick fil A)
基本情報
創業地:ジョージア州アトランタ郊外
創業:1946年
米国内の店舗数:2,400
ホームページ:https://www.chick-fil-a.com/
お店の特徴:まず特筆すべきなのは、「日曜休業」であること。創業者のTruett Cathy氏が1946年に第一号店をジョージア州Hapevilleにオープンした頃、ファーストフードは年中無休営業が一般的でしたが、敬虔なクリスチャンでもあるTruett氏は、従業員が休息をとり、望めば日曜礼拝に参加できるように日曜を休業としました。
チキンを主体にしたレストランチェーンとして全米第1位の売上を誇る現在でも、日曜休業ポリシーは貫かれています。逆に言うと日曜休みにも関わらず売上No1を維持しているってすごいことですよね。
お店の名物のアイコンはチキンのお店にもかかわらず「牛(renegage cow)」。元はといえば1995年テキサス州にあった路面広告に、牛が口にペンキのはけをくわえ「EAT MOR CHIKIN(Eat more chicken:もっとチキンを食べて)」とペンキで書いているイメージを掲載したのが始まりとか。今ではあらゆる媒体でチックフィレの宣伝部長としてこの牛が登場します。
(引用:https://www.chick-fil-a.com/about/who-we-are)
(ニューヨークのとあるチックフィレ店舗の中にある「EAT MOR CHIKIN」のポスター。地元ニューヨーク地下鉄の画像が使われています。)
チックフィレ・チキンサンドイッチは、創業者のTruett氏が1961年から4年の歳月をかけて研究、開発した秘蔵のレシピ。最高の調味料と食材の組み合わせを見つけたとき、顧客は「これが気に入った、絶対にレシピを変えないで。」と言ったとのこと。60年近く経った今でもレシピは変わっていません。
レシピは企業秘密ですが、いくつか公開されているチックフィレのこだわりポイントを紹介しましょう。
チキン 卵の状態から成長過程において、抗生物質、充填剤、ホルモン剤不使用の鶏を使用。
手作り 美味しさの秘密は、調理に手間をかけていること。お店のキッチンでひとつひとつ手作業でカットした鶏肉を、卵と牛乳を混ぜた液体にくぐらせ、秘伝のシーズニングを手作業でつけていきます。そして圧力鍋を使うことでジューシーさを逃さずに完璧なチキンが出来上がります。
完璧なピクルス 提供時にベストな状態のピクルスにするため、西洋きゅうりのスライスを3日間漬け込み、熟成の少し手前の状態になるようにしています。
焼きたてバターバン オーダーが入ってからバンズをトーストし、熱々のうちにバターが乗せられます。
100%精製ピーナツオイルを使用 最も高価な油の一つですが、より美味しく仕上がり、トランス脂肪が含まれていません。
チックフィレ・デラックスサンドイッチ(Chick-fil-A Deluxe Sandwich)
(引用:https://www.chick-fil-a.com/menu/chick-fil-a-deluxe-sandwich)
チックフィレの元祖はチキンサンドイッチなのですが、本記事では筆者おすすめのチックフィレ・デラックス・サンドイッチ(Chick-fil-A Deluxe Sandwich)を紹介します。オリジナルとの違いはトッピングの数の違いです。
値段:$6.49 (単品価格)<918 8th Ave, New York店の価格参照>
栄養表示:500カロリー / 脂肪22g 炭水化物44g たんぱく質32g
食べた感想:いつも揚げたてのチキンに感動します。熱々でとっても柔らかく、口に入れると鶏肉の旨みがじゅわ〜っと広がります。「うまーい!」と毎回うなります。鮮度も良く鶏肉特有の臭みを感じたことはほとんどありません。そしてフライドチキンの衣が適度な厚さなんです。無駄な衣がついておらず、油っこさを感じることなく、食べやすいのがありがたい。
トマトやレタスなどの野菜がフレッシュさを追加してくれると同時に、チーズ(少し溶けて柔らかくなってるのがGood)の濃厚さも味わえます。個人的にはコービージャックチーズがおすすめです。
デラックスというだけあり、一つのサンドイッチで大満足できる構成ですが、もう少しこってり感を追加したいならマヨネーズを加えると良いでしょう。(デフォルトではマヨは入っていません。)
マイナス点を敢えて挙げるなら、バンズ(パンの部分)のレベルはまぁ普通かなと思います。わりと淡白な味で口の中がパサついたり、お腹いっぱいでバンズだけ残すことがあります。
とは言え、総じてファストフードとは思えない美味しさと品質で、食材への安心感もあり、筆者だけでなく多くの米国民から支持されているのが納得できます。
サイドのポテト(Chick-fil-A Waffle Potato Fries)
ワッフル(網目状)型に切ったポテトを外はカリカリ、内側は柔らかい状態になるよう、キャノーラ油で揚げ、海塩で味付けています。このポテト、食べると古い油を使っていないことが分かリます。油でギトギトしておらず、とっても軽い口触りで、中はホクホク、何度食べても飽きません。
ポテトのソースとして、ケチャップは鉄板ですが、筆者のおすすめは「Chick-fil-A Sauce」です。なんと表現したらいいでしょうか。甘めのオーロラソース(マヨネーズとケチャップを混ぜたもの)のような、とにかく一度騙されたと思って試してみて下さい。ワッフルポテトと相性良しです。
他にもたくさんのソースが選べるのもチックフィレの良いところです。
その他のコメント
チックフィレファンとしてチックフィレの好きなところを以下に挙げておきます。
①お店による品質のバラツキがほとんどない。
大規模チェーン店でよくありがちなのが、お店や訪問時間帯によって品質にバラツキがあること。チックフィレに関しては、どのお店を訪れても品質にバラツキを感じたことなく、いつも期待値通りの美味しさを届けてくれます。フランチャイズの運営・品質管理において優れた手法が確立されているように思います。
②使いやすくお得なアプリ
よくチックフィレを利用するならアプリは絶対ダウンロードするべきです。とっても使いやすいのと、ポイントが貯まります。そして時々ランダムに「Reward(無料のポテトやサンドイッチなど)」がアプリに届きます。
コロナパンデミックの際、チックフィレのITチームの対応力は驚異的でした。客が車に乗ったまま駐車場でオーダーをピックアップできるよう、いち早くアプリを改善。すごく便利で筆者もStay at Homeの時は本当に何度もお世話になりました。コロナ禍の2020年、店内での飲食が不可の状態が続いたにも関わらず、過去最高売上高と収益を達成したようです。
③クルー(チームメンバー)のとっても感じの良い接客。
これもアメリカあるあるですが、ファーストフードチェーンの店員さんはお世辞にも対応が良いとは言えませんが、チックフィレの従業員は他とは違います。さすがのニューヨークではそれほど感じませんが、以前住んでいた郊外にあるチックフィレではテーブルを回って飲み物のRefill(おかわり)を聞いてくれたり、コロナ禍で車まで商品を運んでくれるクルーも丁寧で気持ちいい対応でした。
筆者の個人的な考えでは、クルーの感じがいいのは、日曜休業の効果なのかと思います。日曜日に家族や友人と過ごす時間や、休息の時間が確保されていること。実は従業員満足度を高める重要な要因になっているのではないかと思います。
ということで、アメリカで気軽にチキンサンドイッチを試したいなら、自信を持ってチックフィレをおすすめします。
ポパイ・ルイジアナキッチン(Popeyes Louisiana Kitchen)
基本情報
創業地:ルイジアナ州ニューオーリンズ
創業:1972年
米国内の店舗数:2,700
ホームページ:https://www.popeyes.com/
お店の特徴:1972年、Alvin C. Copeland Sr.氏が、ニューオーリンズの郊外Arabiに伝統的な南部スタイルのフライドチキンを提供する「Chicken on the Run」というお店をオープンします。お店は繁盛せず閉店しますが、彼は「Popeyes(ポパイ)」というお店を再オープンし、今度はスパイシーなニューオーリンズスタイルのチキンを販売します。
1976年には、ニューオーリンズに初めてのフランチャイズ店をオープン、その後フライドチキンのお店として、1984年にはカナダに進出、2011年には記念すべき2,000店舗目をテネシー州のメンフィスにオープン。今では2,700店舗を展開しています。
メニューの味付けはニューオーリンズ独自の伝統料理、ケイジャンやクレオール※がベースとなっており、それが他チェーンとの違いです。例えばスパイシーフライドチキンやスパイシーチキンナゲット、えびのフリッター(Fried Shrimp)。サイドメニューでは、ケイジャンフライ(Cajun Fries)や小豆ペーストとライス(Red Beans & Rice)などです。
※ケイジャンとクレオールについては過去記事をご参照ください。
(引用:https://www.popeyes.com/menu/picker-e854ee55-19ad-4498-b604-e824a0661d50)
このニューオーリンズスタイルのフライドチキンチェーンが、チックフィレに対抗して、チキンサンドイッチをリニューアル発売したのは2019年8月のこと。ソーシャルメディアでの拡散やマーケティングキャンペーンも功を奏して話題を呼び、なんと発売から約2週間で、全米全店舗で品切れとなり、同年11月に復活するまで約2か月、店頭から姿を消すことになったのです。
発売当時はそれ程大人気で、冒頭でも触れたとおり、商品を求めて並んでいた客同士のトラブルで殺人事件まで起きてしまいました。
そんなポパイのチキンへのこだわりは、新鮮なチキンを使い、各店舗のキッチンでは手作業によってチキンに衣をつける作業が行われています。この点はチックフィレも同様ですが、ニューオーリンズの風の味付けのために、最低12時間は特製の香味料にチキンを漬け込んでいるとのこと。
外はクリスピー、中はジューシー、そして口に広がるニューオーリンズの風味。これがポパイのチキンの特徴です。
また鶏肉の品質の点では、2022年末までにアメリカのフライドチキンメニューから、人工的な着色料、香料、保存料を取り除くことを目指しています。また同時期までに化学調味料(MSG)無添加となるとのことです。
鶏肉は全て米国産で、米国で鶏への使用が禁止されている、ホルモン剤とステロイドは不使用で、2021年末までには抗生物質を使用せずに飼育することにするとコミットメントを出しています。
チックフィレと同じく、鶏肉の品質や倫理の向上にも努力しています。
クラシック・チキンサンドイッチ(CHICKEN SANDWICH-CLASSIC)
(引用:https://www.popeyes.com/menu/picker-fdf4820a-ae18-4203-8346-d5e7d762c200)
値段:$4.49(単品価格) <934 8th Ave, New York店の価格参照>
栄養表示:699カロリー/ 脂肪42g 炭水化物50g たんぱく質28g
食べてみた感想:チックフィレと比較してチキンの衣が割と厚めですが、上記写真でもお分かりのように多くの凹凸が表面にあって、噛むごとにサクサクとした食感を楽しむことができます。そして中はジューシーとお伝えしたいところですが、、、今回食べたチキンはちょっと臭みを感じたのと鶏肉の硬さが気になりました。
過去に食べた時は全く臭みのないジューシー、柔らかなチキンで美味しかったので、店舗や訪れるタイミングによる品質のバラツキが有るのが弱点です。
(テイクアウトしてバンズが少し潰れてしまいました)
筆者はポパイのバンズとマヨネーズがすごく美味しいと思います。バンズはうっすら黄色がかったブリオッシュバンで、パサパサしておらず、少し甘みがあり、マヨネーズと、チキン、ピクルス、すべての食材と味の相性が抜群です。筆者はバンズについてはチックフィレよりポパイが好きですね。マヨネーズは、ポパイ特製マヨだと思うのですが、酸味が強すぎずまろやかで、バンズとチキンの繋ぎ役としてとても良い仕事をしています。
「クラッシック」というだけあり、シンプルを極めた基本中の基本のチキンサンドイッチで美味しいです。具材がシンプルだからこそ、チキンの出来栄え、品質が大きく全体に影響してきます。チキンの品質がもう少し安定したらいいのになぁと思います。
サイドのポテト(Cajun Fries)
(引用:https://www.popeyes.com/menu/picker-aeda19fb-992d-4fa8-96cd-b2c42bd8c9d0)
細斜め切りのポテトで、おそらくチリパウダーや胡椒、その他ケイジャンの調味料がついており、フレーバーポテトとして、そのままで美味しくいただけます。筆者はこの味付けは嫌いではないのですが、ポテトは作り置きされているのか、今回購入したポテトも油の酸化が進んでしまっており、しんなりしていたので残念でした。
その他のコメント
ポパイについてのコメントを以下に挙げておきます。
①お店による品質のバラツキが残念。
「当たり」のお店で買ったチキンサンドイッチには本当に感激しました。発売当初に人気爆発したのも納得です。ただし、ポパイの課題は作り置きによる品質の劣化や店舗ごとにかなりギャップがある品質管理かと思います。
こればかりは運ですが、いつも混んでいるようなポパイであれば商品の回転が速く、出来立てに近いチキン&ポテトにありつけるかもしれません。
②チキンサンドイッチの包装がユニーク
特製のバッグに入ってきます。これがなんだか消費者心理をくすぐる包装で、開ける瞬間ワクワクします。
まとめ
チックフィレとポパイ、少しテイストは異なるものの、どちらのチキンサンドイッチも美味しいと筆者は思います。それでもチックフィレに軍配を挙げたいのは、いつどの店舗に行っても期待を裏切らない商品を食べることができることが大きいです。
その品質の決め手となっているのは、おそらくチックフィレは注文が入ってから作っているので、サンドイッチもポテトも出来立ての味が味わえること。出来立ての美味しさにはどんなご馳走も勝てません。またスタッフの感じが良いことも大きいです。大きくこの2つの要素が、筆者がポパイよりチックフィレをおすすめする理由です。
またカロリーに関してもポパイのサンドイッチが若干高めなので、カロリーを気にされる方にもチックフィレが良いでしょう。
ただチックフィレは日曜日が休みだったり、ポパイに比べると少しだけお値段が高かったりするので(数十セントですが)、選択肢として次におすすめしたいファストフードチェーンは断然ポパイです。
最後までお読みいただきありがとうございます。読者のみなさんのチキンサンドイッチのお店選びの参考になれば嬉しいです。