私たちの生活になくてはならないスーパーマーケット。旅先でもその土地の食文化や物価を知るために現地のスーパーを訪れる方も多いのではないでしょうか。
ただニューヨーク市民として、近所にあるスーパーに以下のような不満を感じています。
「自炊をする人が少ない=生鮮食料品の回転率が悪い」のでしょうか。野菜とお肉の鮮度が低いと感じます。
2.値段が高い
米国の定番ブランド商品はもちろんのこと、オーガニックとなるとさらに高いです。
3.狭い
ビルの1階に入っているスーパーが多く、駐車場がないのはもちろんのこと、棚と棚の間がとっても狭い。トレーダージョーズなどの人気店は、ピーク時には身動きできないほどの大混雑に。
これらの不満を和らげてくれるスーパーがウェグマンズ(Wegmans)です。Reader’s Digest誌による2022年版「最も価値のあるスーパー」で全米No1にも選ばれており、ウェグマニアと呼ばれる熱狂的なファンを抱える、アメリカで大変人気のあるスーパーです。
ニューヨーク市内にはブルックリンのネイビーヤードに店舗があり、筆者も1カ月に2回程度まとめ買いに訪れます。また嬉しいことに2023年の下期には、マンハッタン初となる店舗がアスタープレイス(770 Broadway in Greenwich Village)にオープンする予定です。
本記事では食べることが大好きな筆者がウェグマンズの魅力に迫るとともに、おすすめ商品を紹介したいと思います。近所にウェグマンズがある方や、観光の一環としてスーパーマーケット巡りをしたいとお考えの方の参考となれば幸いです。
基本情報
ウェグマンズはどこにある?
実はウェグマンズはその全国的な人気に関わらず東海岸の州のみに展開しています。
ホームページによると2023年6月現在、約100店舗を展開。以下の州に店舗があります。
ワシントン D.C.(1店舗)
デラウェア(1店舗)
メリーランド(6店舗)
マサチューセッツ(6店舗)
ニュージャージー(9店舗)
ノースカロライナ(4店舗)
ペンシルベニア(6店舗)
バージニア(15店舗)
ニューヨーク市内には2019に開店したブルックリン・ネイビーヤード店の1店舗のみ(下記地図参照)。やや離れますがニューヨーク市の北側に隣接するホワイトプレーンにハリソン(Harrison)店があります。
23年下期にマンハッタンのアスタープレイスに新店舗がオープンする予定です。
歴史
1910年代にウォルターとジョンのウェグマン兄弟が創業しました。ウェグマン兄弟は食料品店を開いていた両親から業界のことを学び、1916年、ジョン氏がニューヨーク州のロチェスターにウェグマンズの前身となる「Rocheser Fruit & Vegetable Company」を開業。翌年にウォルター氏も加わります。
1937年にはジョン氏の息子ロバート氏が高校を卒業し、会社に加わります。1950年に叔父であるウォルター氏の死去にともない、ロバート氏が社長に就任。1976年にはロバート氏の息子ダニー氏が社長を継ぎ、2005年にはダニー氏の娘であるコリーン氏が社長に就任しました。
このようにウェグマンズは100年以上の歴史を持つ家族経営企業です。
ウェグマンズの魅力
筆者が感じるウェグマンズの魅力と、リピート買いする商品を紹介します。
野菜の鮮度が(比較的)良い
野菜は比較的新鮮なものがストックされているように感じます。ホールフーズ(Whole Foods)などを除く、ニューヨークの一般的なスーパーで売られている野菜は、回転率が悪いからか、なんだかしんなりして元気がなく、フレッシュ感がいまいちなことが多いのですが、ウェグマンズの野菜は相対的に新鮮だと感じています。
プライベートブランドが充実しており値段も良心的
ウェグマンズは良心的な価格のプライベートブランド(PB)が充実しており、物価の高いニューヨークで大変助かる存在です。例えば以下のウェグマンズオリジナル・アーモンドミルクですが、64オンスパックが$2.99と安い。競合商品の「アーモンド・ブリーズ」を一般的なスーパーで買うと安くても$3.50程度、一般的には$5.50程度で販売されています。
(ウェグマンズ・ネイビーヤード店:ウェグマンズオリジナル・アーモンドミルク $2.99)
(近所のスーパーで売られている一般的なアーモンドミルク。同サイズで$5.49)
定番ブランドがお手頃価格で手に入ることも
PBだけでなく、定番ブランド商品も安い場合が多いです。ただしPBが充実している反面、お目当ての定番ブランドを扱っていないこともあるので注意が必要です。
(ウェグマンズ・ネイビーヤード店:筆者が愛用のケリーゴールドのバター $4.29)
(近所のスーパーで売られているケリーゴールドのバター。同サイズで$6.29)
(ウェグマンズ・ネイビーヤード店:夫がカフェモカを作る時の必需品、ネスレチョコチップ$3.99)
(近所のスーパーで売られているネスレチョコチップ。$4.69)
オーブンに入れるだけの「Ready to Cook」ミールが充実
筆者が一番助かっているポイントです。献立を考えるのが面倒なとき、忙しくて調理の時間を節約したい時、ウェグマンズに駆け込み「Ready to Cook」ミールを買います。
すべて下準備済みなので、器ごとオーブン等に入れて焼くだけ。ちゃんとした主食&副菜が出来上がります。値段は安くはありませんが、調理にかける時間と手間を考えると本当にありがたい存在です。
(種類豊富なReady to Cookミール)
(杉の板ごとオーブンで焼くサーモン、ウェグマンズの名物でおいしいと評判です。筆者はまだ試したことがありません)
筆者が良く買うのが「チキンカツレツ(2枚:$11)」、「ロブスターマカロニ&チーズ($16)」、「サラダパック($3程度)」の組み合わせです。このマック&チーズ、高いですがおいしいのでおすすめです。全部で$30くらいですが、豪華なディナーが完成します。
(チキンカツレツ:筆者はこのまま何も手を加えずにエアフライヤーに入れてしまいます。)
(ロブスターマカロニ&チーズ:$16と少しお高めですが、ロブスターの身がごろっと入って出来上がりはとってもクリーミー。まるでレストランの味。この容器のままオーブンで加熱します。途中で一度取り出し、混ぜ合わせると熱が均等に伝わります)
サラダパック(葉物)も種類が多くお手頃。
(比較的新鮮で安い。添えるだけ。)
立派な時短ディナーの完成!
調理済み食品も充実
レンジでチンするだけの調理済みフード・お惣菜もとっても充実しています。ニューヨークは食材自体も高いので、自炊があまり節約にならないことも多々あり。でも調理済みフードなら、自分に必要な分だけ、調理に時間をかけずに食べることができるので、忙しいニューヨーカーにとってありがたい存在です。
(レンジで温めるだけの主菜&副菜たち)
アジア風お惣菜も結構充実しています。
気軽なサンドイッチも2名でシェアできそうな大きさで$10以下。
パーティプレートも充実しているので、うまく活用すれば準備の手間が省けます。
開放的でゆったりとした店舗、手書き風ポップで楽しさ演出
他州の郊外地域に住んでいた頃は、スーパーは基本的に広く、大きなカートを押して回るのが普通でした。でもニューヨーク市内にはそんな広いスーパーはほとんど見かけません。時には人がすれ違うのも精一杯なスーパーもあります。
ここウェグマンズのネイビーヤード店はブルックリンのスーパーで最大規模だそうです。ショッピングのストレスが軽減されゆったりと買い物できるのが嬉しいです。
(大きなカートを押していても余裕のある通路)
手書き風のポップが多く、買い物が楽しくなる工夫がたくさん。生きたロブスターも売っています。
2階に上がるとイートインスペースもあります。
筆者が良く買うおすすめ商品
ここでは筆者が実際にリピートしているおすすめ商品を紹介します。
◆Ready to Cookミール
オーブンに入れるだけの下準備済み食品。既出のチキンカツレツ、ロブスターマカロニ&チーズに加え、ガーリックと黒胡椒で味付け済みのストリップ・ステーキもよく買います。
1ポンドあたり$16.99、上の写真の大きさで$24.13です。分厚いお肉なので、2名でシェアも可能。オーブンで調理できます。ただし煙が結構出るので換気には注意が必要です。(筆者は何度も火災探知機のアラームを鳴らしています)
(焼き上がりはこんな感じ)
◆ベーグルとPBのクリームチーズ
パンや焼き菓子の品揃えも豊富なウェグマンズですが、筆者のお気に入りはベーグルです。6個入りで約$8。食べる分以外は冷凍保存します。しっとり感ともちもち感の絶妙なバランスがリピートにつながっています。
(ベーグルは弾力と柔らかさのバランスがちょうど良い)
そしてベーグルと言えば、クリームチーズ。ウェグマンズブランドのクリームチーズは濃厚ながら伸びが良く塗りやすいので気に入っています。値段も$2.99とお手頃。
◆チーズセレクション、特にPBのマイルド・ブリーチーズ
チーズ&ワイン好きは、チーズセクションは避けて通れません。PBを中心に、さまざまなチーズを取り揃えています。
チーズの種類とストックの多さに感動!
チーズの中でも筆者のおすすめがPBのマイルド・ブリーチーズ。いわゆるトリプル・ブリーチーズに似ていますが、ほんのり甘みさえ感じる繊細で超クリーミーな味わいがたまりません!クラッカーとともにスパークリングワインや白ワイン、ロゼなどにぴったりです。
そのままおつまみになる多種盛りプレートも充実しており、パーティーの強い味方です。
◆刻みにんにくのオイル漬け
これも時短料理のためのお助け商品です。にんにくのみじん切りって準備が面倒ですよね。この商品があれば、スプーンですくってそのまま調理に使えます。炒め物の風味出しや、アスパラガスなどの野菜に乗せて、塩胡椒してオーブンで焼くだけで立派な副菜が簡単に出来上がります。
(中はこんな感じ)
ウェグマンズのマイナス点
そんなウェグマンズと言えども強みばかりの万能スーパーではありません。以下にいくつかのマイナス点も記しておきます。これらは他のスーパーを利用して補っています。
PBと主要ブランドの2者択一で、後者の価格設定が高め
例えば既出のクリームチーズ。ウェグマンズのPBが$2.99と安価であるのに対して、同じ店舗で販売されているメジャーブランドの「フィラデルフィア」のクリームチーズは同じ8オンスの容量で$4.99と高めの価格設定になっています。PBではなく主要ブランドが買いたい場合、割高に感じることがあります。
(プライベートブランドは$2.99)
(主要ブランドは$4.99、他のスーパーを探せばもっと安い場合も)
決して激安スーパーではない
ニューヨーク市内の一般的なスーパーに比べればお財布に優しい値段設定ですが、同じニューヨークの「フードバザール(Food Bazar)」やトレーダージョーズと比較すると全てが安いわけではないと感じます。商品によってどのお店が安いか見極めることが大切です。
精肉は真空パック詰めが多い
精肉部門のショーケースには限られた高級牛肉のみが並んでおり、それ以外は基本的に味付けされたものを含む真空パックされたお肉がほとんどです。日持ちはすると思いますが、新鮮なお肉を手に入れたい時は、町のお肉屋さん、フードバザール、ホールフーズを利用しています。
(下味が着いた状態で真空パックされた鶏肉。焼くだけ簡単)
(自宅で韓国風プルコギを作るときに良く利用するショートリブ肉。日持ちはするので、週の後半の献立に。)
アジア系食品は限定的
アジア系の商品が充実したスーパーも多いニューヨーク。でもウェグマンズは(少なくともニューヨークでは)それほど力を入れていないようで、商品に占めるアジア系食品の割合は少ないです。アジア系食品の買い物は日系スーパーに頼っています。
(PBブランドのキムチや味噌も。でもキムチはいまいちの味でした)
(アジア食品商品棚。サッポロ一番やPBブランドのうどんもありますが、品揃えは限定的)
まとめ
それでもウェグマンズにはマイナス点を大きく上回る利点があり、筆者のニューヨーク生活にとって欠かせない存在になっています。各スーパーの強みを把握して、それぞれの「おいしいとこどり」するのが賢く生きるために必要だと物価高の時代に改めて感じています。
今年後半にマンハッタン店がオープンするのも楽しみです!観光で訪れた方もアクセスしやすくなると思います。もちろん近所にウェグマンズ店舗がある方にとってもこの記事が何か有益な情報を提供できたなら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。